法人案内
法人沿革
2004年 (平成16年8月27日) |
結核感染診断技術研究会を財団法人結核予防会水道橋ビルにおいてクローズの任意団体として創立。同日第一回結核感染診断技術研究会を開催。IGRA(Interferon-Gamma Release Assay)の技術・学術的理論の情報公開。 |
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2010年 | オープンの研究会にすべく法人化を決定。第7回を以て結核感染診断技術研究会を発展的に解散。 |
2011年 | NPO法人の前身となる結核感染診断研究会を創立。 |
2012年4月11日 | 結核感染診断研究会を母体として特定非営利活動法人結核感染診断研究会(Specified Non Profit Corporation Research Institution of Tubercle Infection Diagnosis:RITID)を創立。同日第一回特定非営利活動法人結核感染診断研究会を開催。 |
本研究会はIGRA(QFT、T-SPOT.TB)検査に関する外部精度評価及び臨床研究はもとより、今後開発される結核感染診断技術に対しても研究・情報発信等を励行し、結核対策に有益な活動を遂行する。
RITIDについて
英名 略称(RITID:リチ)
Specified Non Profit Corporation
Research Institution of Tubercle Infection Diagnosis
RITID(リチ)はIGRA検査の学術的基盤を構築して試薬及び技術精度向上の為にIGRA検査の課題を検討・研究し、得られた結果を正確に情報発信するIGRA検査の専門的研究集団です。
設立趣旨
潜在性結核感染診断は100年以上ツ反を使用してきましたが、ツ反は抗原としてPPDを使用しているため、過剰な陽性診断や取りこぼし診断といった偽診断を除外することが難しく、結核菌特異抗原を使用した精度の高い診断法の開発が望まれてきました。
こうした中で近年、結核菌特異的抗原が発見され細胞性免疫反応により結核感染を診断することを原理とした二種類の結核感染診断法IGRA (interferon-gamma release assay)が開発・商品化され、使用されて参りました。
QFT検査は2005年4月より、T‐スポット検査は2012年11月より厚生労働省承認の下に使用されております。
IGRAは特異度・感度共にツ反より優れており、BCGワクチン接種や非結核性抗酸菌感染の影響は受けません。
このIGRAには、全血を用いるQFT検査と末梢血単核球を用いるT‐スポット検査があり、何れの方法も結核菌抗原特異的なTリンパ球から放出されるInterferon-γ(IFN-γ)を計測する方法です。しかしその細胞性免疫反応のメカニズムにつきましては明確にしなければならない課題も残されています。
また、結核対策を推進する上での重要なツールであるIGRAは、その性能と精度・有用性、適応条件、使用方法、使用条件などを正しく理解し、対象となる被検者に合った検査を使用することが重要です。使用開始から10年そこそこのIGRA検査を適正かつ効果的に使用し、普及するためには様々な医療現場から提示される課題や研究成果を中立的な立場で討議・検証・解析し、得られた成果を共有情報として発信する場が必要です。
本研究会の趣旨は正に此処に有ります。すなわち将来的にIGRA以外にも新たな結核感染診断法が開発されてくる可能性は大きく、今後新たに開発される結核感染診断法も含め性能評価・精度管理が結核対策を推進させる上で重要なカギとなり、前述の情報発信の場と同様に精度に関しても研究する場が必要となります。本研究会創立の趣旨は、これらの機能を包括的に遂行し研究し、発信する場となることです。
特定非営利活動法人結核感染診断研究会は、これまで任意団体であった「結核感染診断研究会」を法人化し、具体的な機能を明記致しました。結核感染診断検査法全般に亘る研究成果は公募し、そこから得られた課題について広い分野の方々と討議して、課題解決に関する情報の共有化と検査精度の安定化のための情報を発信します。
また、今後新しく開発されてくる結核感染診断法に関しても正確な情報収集と情報発信を行って、将来的には結核感染診断法全般に置けるアジアの研究拠点と成り、東アジア全体の結核対策の一隅を担う事を目指しております。
2012年4月11日
特定非営利活動法人結核感染診断研究会
代表理事 鈴木 公典
副代表理事 原田 登之
リチのHP画像は何故ウシ?
リチは決してミルクや牛肉の研究会ではありません。
でも、ウシと結核は切っても切れない仲なのです。
結核菌は今から100年以上も前(1882年)に、ドイツの医師、Robert Koch(ロベルト・コッホ)によって発見されました。Koch はそれから8年後の1890には結核の治療薬を発見したと報告しました。その本態は結核菌の培養ろ液を殺菌・濃縮したもので、ツベルクリンと命名され、治療薬としての多くの研究が実施されましたがいずれも不成功に終わってしまいました。
しかし、Kochが発表したツベルクリンは、ロシアやアメリカの獣医師達により牛結核の診断に用られ、次々と成功しました。この事実から、人でも結核感染診断に用いられるようになり、その後種々の改良が加えられ、今でもツベルクリン皮膚反応(ツ反)として100年以上使われています。ツ反はウシの結核診断に使われたのが始まりです。
もう一つのウシとの関わりは、BCGワクチンで、結核発病を抑えるために今でも乳幼児に使用されています。
BCGは、フランスパスツール研究所のCalmette(カルメット)とGuerin(ゲラン)が結核に罹った牝牛の結核性乳腺炎から分離した非常に毒力の強いウシ型結核菌を5%グリセリンを加えたウシ胆汁に煮沸滅菌した馬鈴薯を浸した培地で13年間231継代培養した結果、抗原性は変化せずに種々の動物に対して無毒化されました。
これは1921年にBCG(Bacille bilies Calmette-Guerin:カルメットとゲランの胆汁菌)と名付けられました。
余談ですがこの継代培養は、第一次世界大戦でドイツ軍がパスツール研究所のあるフランスLille市を占領した時期、
その占領下でも途絶えなかったのです。
そしてBCGが初めてヒトに投与されたのは1921年です。Weill-Halleという医師が肺結核症の母から生まれ、肺結核症の祖母の居る乳児に経口投与しました。この赤ちゃんは全くの健康で成長しました。その後も437人の子供に投与しましたが、副作用は無く健康で、1924年には毒力は固定されたと判断されました。今も使われているBCGワクチンですが、元々はウシに結核を起すウシ型の毒力結核菌だったのです。
結核感染診断研究会のHP画像に牛を使った理由は、感染診断やワクチンの研究がウシで始まったと言っても過言ではないからです。
そして、クォンティフェロンTB は、オーストラリアの牛の結核感染診断技術が原型です。
これについて少し触れます。オーストラリアの産業はオージー・ビーフが大きな位置を占めています。
もし牛が結核を発病すると、そのコロニーはすべて処分しなければならないため、牛の結核感染を早期発見できるか否かは死活問題です。牛の結核感染診断法は長い間ツ反でやっていましたが、ツベルクリンの接種部位は尾部の肛門近くで、摂取時の刺激により大量の●●を排泄することもあり、接種者に降りかかる災難は大変なものでした。
そうした状況を改善すべく、牛の血液をウシ型結核菌のPPDで刺激して産生されるIFN-γ量を測定することで結核を診断する、今ヒトで使用しているクォンティフェロンTBのプロトタイプ(Bovigam)が1990年初頭に(CSL, Victoria, Australia)開発されました。
Bovigam開発者達はこの方法をヒトに応用しようとヒト型結核菌のPPDを刺激抗原としたQFT第一世代を開発しました。1995年にデンマーク国立血清研究所のP.Andersenらが結核菌群特異抗原ESAT-6を、更に1998年にはCFP-10を報告しました。これらの結核菌特異抗原を刺激抗原としたものがQFT第二世代で、今使われているものはQFT第三世代と言われるものです。Bovigamを基に出来たQFTは、現在QFT-PLUSというタイプに進化しています。ということで、QFTの歴史は30年近くあり、その間に行われた基礎研究は相当な数があります。
このような背景から、リチのホームページの画像はウシちゃんになっております。
サポート基金のお願い
もし社会経済的弱者や医療行為を受ける機会のない人達が、
結核に感染した時、私たちは何か手助けできることがあるでしょうか?
結核を発病した人たちは、速やかに結核の精密検査をうけて治療を開始し、周りの人に感染することを防がなくてはなりません。結核は「空気感染」なので痛みも痒みもありません。
発病しても風邪(?)と思ってしまうことも多々あります。
医療行為を受ける機会がない人たちの結核感染を防ぐことは、非常に重要な課題です。
実際、医療行為に恵まれない人々が暮らす地域の結核はそうでない地域に比べて相当高い数値が出ています。
日本の結核の多くの割合を占めている社会経済的弱者を結核から救済することは、日本全体の結核減少に直結していると言っても過言ではありません。そうした方々が居住する高蔓延地域の結核対策を前進させるため、本研究会はサポート基金を設立しました。
本基金にご協力下さる一人の真心が結核発病者数を減少させる事が出来ます。結核は過去の病気ではありません。
是非、サポート基金へのご協力をお願い申し上げます。
サポート基金の流れを以下に示します
- 特定非営利活動法人結核感染診断研究会がHP上で募金
- 結核感染診断研究会のHPから「サポート基金協力」を開けて必要事項を記入し、そのページを特定非営利活動法人結核感染診断研究会(RITID:リチ)にFAX
- 書類を確認した段階で書類がリチから郵送
- 振り込みが確認できた時点でリチからお礼状を郵送
- 一定額(50万円単位)が集まった処でリチのHP(おしらせ)で、社会経済的弱者の結核対策(IGRA検査実施等)のために補助金を必要としている団体を公募
- 計画書(規模、補助金の使途等)の提出
- 理事会で審査を行い必要と認めた団体に補助
- 補助金を受け取った団体は対策が終了した時点でRITIDの報告書フォームに必要事項を記載して提出
- 年一度RITID のHP (おしらせ)でサポート基金の収支決済報告サポートした概要を報告
- 要望が有れば募金協力者の氏名だけ(おしらせ)で公表
サポート基金について
趣旨
21世紀に成りInterferon-Gamma Release Assay (IGRA)と言うツベルクリン反応(ツ反)に替る新規の結核感染補助診断法が開発されました。IGRAにはQFTとT-SPOT.TBの二種類の方法があり、ツベルクリン反応よりも特異度・感度が高く、日本では2005年4月14日からQFTが使われています。
IGRAの原理は結核菌に特異的な細胞性免疫応答のレベルを測定して感染を診断するもので、具体的には結核菌特異的タンパクでTリンパ球を刺激し、結核菌特異的なヘルパーTリンパ球が産生するInterferon-Gamma(IFN-γ)を測定して結核感染を補助的に診断します。
ツベルクリン反応ではPPDを投与した後48時間後に必ず医療機関に行って接種部位を測定して貰わないと結核感染診断は出来ませんが、IGRAでは一度の採血で、再院なしでの診断が可能になりました。
この検査法はあくまで結核の補助診断法ですが、接触者健診における潜在性結核感染の診断や、結核が疑われるケースにおいて、他の肺疾患との鑑別にも有力なツールです。
IGRAは結核対策にとって光明とも言える検査法ですが、全ての日本国民および居住者がその恩恵に浴せないのが現状です。2010年の日本における新結核感染登録者数(人口10万対率)は2006年に20.6であったものが2010年には18.2へと減少しました。しかし、2009年のアメリカでは3.7、カナダ4.3、フランス5.4、オランダ5.7と、これら先進国と比較すると、日本は米国等の先進国の2-5倍となっており、まだまだ結核中蔓延国の位置に置かれています。
先進国の一角に位置する日本は、可及的速やかに国内の新規結核感染率を減少させる必要がありますが、それを実現させるためには幾つかの課題を解決しなければなりません。
今後ますます高齢化が進む中で、昭和初期の結核高蔓延時代に若年齢で結核に感染し、年齢を重ねて免疫が低下したことで結核を発症するケースが増え、高齢者施設や高齢者世帯における発症が問題となっています。
また、青年・壮年層では仕事の多忙化による受診の遅れや、無保険者であるが故に受診が遅れて重症化するケースや、失職者・ホームレス等の保菌者が、就寝の場としている密閉された娯楽施設内で排菌することによる感染の拡大なども問題となっています。
更に日本の国策としての国際支援に伴う結核高蔓延国からの入国労働者の増加、あるいは不法滞在目的の旅行者の流入増加も考えられ、それらの集団における保菌者・排菌者の存在が問題となります。
このように結核は過去の病気ではなく、私達自身あるいは私達の隣人にも可能性がある病気と考えて対応していかなくてはならない多くの問題を抱えている病気です。
特定非営利活動法人結核感染診断研究会(RITID)は、結核対策を推進することが困難な環境にある高齢者や社会経済的弱者、あるいは結核高蔓延国からの入国者に対してIGRAを用いた結核感染診断を支援し、新規結核登録者を先進諸国に準じた減少に導くためにサポート基金を設立いたしました。この支援は団体、組織、個人の要望により実施していくもので、外部識者と理事による公平な審査のもとに支援活動を行います。
またお寄せ頂くご芳志のサポート基金は全て結核対策に使用し、その財務諸表はインターネット上に公開致します。
官民を問わず特定非営利活動法人結核感染診断研究会(RITID)の趣旨を御理解して頂き、ご賛同を頂ける皆様にはサポート基金へのご協力を衷心よりお願い申し上げます。
この基金の最終目標は新結核感染登録者数(人口10万対率)が10を切った時点で中止し、その後につきましては広く一般の方々の御意見を伺った上で決定致します。
背景
サポート基金の受付金額
サポート基金はワンコインからお受け致します
お振込の際は御ご氏名の前に必ずSMTをお付け下さい。
※SMT:Support of Mycobacterium tuberculosis Infection
サポート基金口座
- 銀行名:三井住友銀行、支店名:清瀬支店(849)、口座番号:4715920預金種目:普通預金、口座名:特定非営利活動法人結核感染診断研究会
- 銀行名:ゆうちょ銀行、店名:〇〇八(ゼロゼロハチ)、店番:008預金種目:普通預金、口座番号:0080969、口座名:特定非営利活動法人結核感染診断研究会
理事長挨拶

近年、結核菌群特異抗原が発見され、BCG接種の影響を受けない新規結核感染診断法が開発されました。このような新規の結核感染診断法の適用範囲ないしは有用性を研究するためには、広域的かつ組織的な共同研究が必要となります。2004年(平成16年)8月、本研究会の前身となる結核感染診断技術研究会が東京千代田区三崎町の財団法人結核予防会水道橋ビルでクローズの会として発足しました。
ほぼ1世紀に亘り、結核感染の診断法として唯一ツベルクリン反応(ツ反)が、全世界で使用されてきました。しかし、ツ反で使用するPPDは、結核菌の培養ろ液を加熱滅菌し、タンパクを沈殿させて調製したもので、数百種類もの結核菌抗原が混在し、その殆どのものがBCGあるいは非結核性抗酸菌の抗原と高い類似性を持つため特異性の点で重大な欠点を持っています。
それはBCG接種や非結核性抗酸菌感染でもツ反陽性結果を導き出します。
このため、BCG接種が広範に行われている日本では、ツ反による正確な結核感染診断は難しい点が多く、この点を克服した新規結核感染診断法が、近年の結核菌遺伝子解析技術の進歩に伴って開発されました。
その方法はInterferon-gamma release assay(IGRA)と呼ばれるもので、現在多くの国々の結核診断の場で使用されています。
このIGRAに採用されている抗原はESAT-6と CFP-10と呼ばれる結核菌抗原で、これらを使った検査としてQFTとT-SPOT.TBの二種類の手技が開発されています。
QFTが国内に導入される事が明らかになった時点で、明確にしなければならない幾つかの課題の研究と、正しい検査技術の普及を目的として結核感染診断技術研究会を発足させました。この研究会はクローズかつ任意の会として7年間(第7回が最終会)続けられ、その間に、感染源への曝露の時期から結果が陽性になるまでの時間経過や長期間における応答の消長、あるいは化学予防や化学療法の影響など、さまざまな状況に置ける診断特性について研究がおこなわれてきました。しかし、小児、特に乳幼児の特性や免疫脆弱者における研究は、クローズの会で在ったが故に各分野の専門家との協力体制が整わず、次第に研究成果に偏りが出るように成って来ました。
会員からもオープンな研究会にして研究成果を広く募るべきとべきとする意見が出始め、そうした機運の中、2010年(平成22年)の第7回の研究会において会員総意のもとに、広く情報発信・社会貢献を基盤とするNPO法人格を取得した研究会を創立すべく結核感染診断技術研究会を発展的に解散し、結核感染診断研究会に移行して2012年(平成24年)に特定非営利活動法人結核感染診断研究会を創設しました。
特定非営利活動法人結核感染診断研究会(Specified Non Profit Corporation Research Institution of Tubercle Infection Diagnosis : RITID)は、公的な研究会としてIGRA検査の外部精度管理を遂行し、同時に解明しなくてはならない研究課題と結核対策に貢献でき得る研究を積極的に推進し、そこに集積した情報を会員各位に発信・討議しながら、結核感染診断技術の改善・改良に対して公的な立場で提言を行って参りたいと存じます。
また会員以外の方々にもホームページを通じて結核対策の重要性をお示しできるような活動の実施を考えております。
さらに将来的にはこの研究会で集積した知的財産や技術を結核高蔓延国にも提供し、対策に活かせるような協力体制を構築してまいりたいと思います。
日本国内の新登録結核感染者が(10万対率)10を切る日が1日も早く来る様に、本研究会正会員の皆さまの御尽力と賛助会員の皆さまの御支援を頂き研究会活動の活性化に取り組んでまいります。
広く皆さまの御支援御協力を心からお願い申し上げ 理事長挨拶とさせていただきます。