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リチのHP画像は何故ウシ?

リチは決してミルクや牛肉の研究会ではありません。
でも、ウシと結核は切っても切れない仲なのです。


結核菌は今から100年以上も前(1882年)に、ドイツの医師、Robert Koch(ロベルト・コッホ)によって発見されました。Koch はそれから8年後の1890には結核の治療薬を発見したと報告しました。その本態は結核菌の培養ろ液を殺菌・濃縮したもので、ツベルクリンと命名され、治療薬としての多くの研究が実施されましたがいずれも不成功に終わってしまいました。

しかし、Kochが発表したツベルクリンは、ロシアやアメリカの獣医師達により牛結核の診断に用られ、次々と成功しました。この事実から、人でも結核感染診断に用いられるようになり、その後種々の改良が加えられ、今でもツベルクリン皮膚反応(ツ反)として100年以上使われています。ツ反はウシの結核診断に使われたのが始まりです。

もう一つのウシとの関わりは、BCGワクチンで、結核発病を抑えるために今でも乳幼児に使用されています。
BCGは、フランスパスツール研究所のCalmette(カルメット)とGuerin(ゲラン)が結核に罹った牝牛の結核性乳腺炎から分離した非常に毒力の強いウシ型結核菌を5%グリセリンを加えたウシ胆汁に煮沸滅菌した馬鈴薯を浸した培地で13年間231継代培養した結果、抗原性は変化せずに種々の動物に対して無毒化されました。

これは1921年にBCG(Bacille bilies Calmette-Guerin:カルメットとゲランの胆汁菌)と名付けられました。
余談ですがこの継代培養は、第一次世界大戦でドイツ軍がパスツール研究所のあるフランスLille市を占領した時期、
その占領下でも途絶えなかったのです。
そしてBCGが初めてヒトに投与されたのは1921年です。Weill-Halleという医師が肺結核症の母から生まれ、肺結核症の祖母の居る乳児に経口投与しました。この赤ちゃんは全くの健康で成長しました。その後も437人の子供に投与しましたが、副作用は無く健康で、1924年には毒力は固定されたと判断されました。今も使われているBCGワクチンですが、元々はウシに結核を起すウシ型の毒力結核菌だったのです。

結核感染診断研究会のHP画像に牛を使った理由は、感染診断やワクチンの研究がウシで始まったと言っても過言ではないからです。
そして、クォンティフェロンTB は、オーストラリアの牛の結核感染診断技術が原型です。
これについて少し触れます。オーストラリアの産業はオージー・ビーフが大きな位置を占めています。
もし牛が結核を発病すると、そのコロニーはすべて処分しなければならないため、牛の結核感染を早期発見できるか否かは死活問題です。牛の結核感染診断法は長い間ツ反でやっていましたが、ツベルクリンの接種部位は尾部の肛門近くで、摂取時の刺激により大量の●●を排泄することもあり、接種者に降りかかる災難は大変なものでした。

そうした状況を改善すべく、牛の血液をウシ型結核菌のPPDで刺激して産生されるIFN-γ量を測定することで結核を診断する、今ヒトで使用しているクォンティフェロンTBのプロトタイプ(Bovigam)が1990年初頭に(CSL, Victoria, Australia)開発されました。
Bovigam開発者達はこの方法をヒトに応用しようとヒト型結核菌のPPDを刺激抗原としたQFT第一世代を開発しました。1995年にデンマーク国立血清研究所のP.Andersenらが結核菌群特異抗原ESAT-6を、更に1998年にはCFP-10を報告しました。これらの結核菌特異抗原を刺激抗原としたものがQFT第二世代で、今使われているものはQFT第三世代と言われるものです。Bovigamを基に出来たQFTは、現在QFT-PLUSというタイプに進化しています。ということで、QFTの歴史は30年近くあり、その間に行われた基礎研究は相当な数があります。

このような背景から、リチのホームページの画像はウシちゃんになっております。

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